いやー、久々に古着屋“西海岸”に行ってきました。
ブログをたどってみると昨年の2月以来ですから1年半ぶり。あの時はニットワンピースとベストを購入しました。

恐ろしいことにこの2枚はすでに手放していて、我ながら自分の移り気な性質(服に関して)に驚いています。
ですが、今思えばあの頃はまだ自分の未来に夢があったのかもしれません。こう書くと今の私に夢がないように思われるかもしれませんが、確かに着るものに関しては以前のような冒険心「この服ならこんな風に着こなせる」といった攻めの姿勢はなくなりました。前回のブログにも書きましたが、生活圏が狭くなってくると身近な人との調和の中で自分らしさを表現するようになってきたようです。
それが“西海岸”に行ってさらに実感。
これだけ服があって欲しいと思えたのはわずか1点だけ。こんなことは以前はなかったように思います。並んでいる商品の質が落ちているせいもありますが、私自身がいろいろなスタイルへの挑戦意義を見出せなくなっていることも大きいです。
現役の頃はファッションショー用に「素材」としても古着をよく利用していました。当時(6~7年くらい前)は、日本のアパレル全盛期のハイグレードな服がかなり紛れていたので、店内は本当に宝探しのような楽しさがありました。
それが今は、、、セール開始から5日後だったせいもありますが、目ぼしい服は本当にほとんどありません。
「買うものは何もないわ」と諦め半分でシャツのラックを見ていたら、、、
あったのですね~こちらのシャツが。数百枚はありそうなラックの端にひときわ目立つ鮮やかなグリーン。そしてよい素材が放つ独特なオーラ!
思わず手が伸びました。
それにしても目が覚めるような鮮やかなグリーンですね。いわゆるイエベ春のグリーン。
自分で言うのもなんですが私はこの色は非常によく似合います(笑)。ですが「緑のおばさん」と呼ばれること必須のド派手なお色。いつもならここまで彩度の高い色は選ばないのですが、素材が麻(しかも100%)なため下品な感じがしません。麻は赤でもショッキングピンクでも染め上がりがケバくならない特性があります。
しかもこのリネンシャツ、麻のグレードが高いです。番手は分かりませんが、適度な厚みとしなやかさがあり、張りと落ち感のバランスがグッド!後染めなためミシン糸も同色となりステッチが目立たないのもうれしい。
パターンもきれいです。肩から袖山にかけてのラインが大量生産離れしていて、ここまでカーヴィな線は生産コスト(布地のロスや縫製の熟練度)を考えればなかなかできないと思います。後ろ衿の収まりも美しい。
ずいぶんと褒めましたが、このシャツはZARAのものです。H&Mは買うのにZARAはほとんど買ったことがないのですが、この品質と製品のパターンには脱帽しました。
「ロールアップしても着れますよ~」的なデザインは2010年代前半?のものだと思うのですが、このレベルのシャツが900円の半値で買えるとはうれしい限り。
ZARAは今年が創業50周年だそうで世界88ヶ国で展開しています。相変わらずファストファッションでは世界第1位を保持していますが、日本での人気は下降しているように感じます。日本上陸は1998年で第1号店は渋谷でした。当時、繊研新聞でも大きく取り上げられていたのを覚えています。
ともあれ、今、ファストファッションで麻100%の製品をつくれるのはZARA とH&MとUNIQLOくらいではないでしょうか。そのくらい麻はもちろん、綿、ウール、カシミヤなど天然繊維の価格は高騰しています。
無印良品も以前は麻100%の製品を出していましたが今はヘンプに移行しています。ヘンプは農薬や化学肥料をほとんど使わずに栽培できるうえに、繊維が麻に似た性質をもつためコスト面からも環境面からもメリットが大きいのでしょう。
そんな状況ですから今のファストファッションでは、麻はどんどん薄っぺらいものにならざるを得ません。その点この上質なリネンシャツは“めっけもの”でした。
ただロールアップ機能は使わないので、ボタンやベルトはいずれ取る予定です。今の感覚では無造作に折り返した方が格好がつくかなと。
ボタンは直径8㎜と小さくて厚みがないタイプですが、お色がゴールドなため控えめな華やかさがあり、神経が行き届いたよいデザインだと思いました。
色が色ですからあとは着る勇気ですね(笑)
1枚で着る時はグッと衣紋を抜いて着ますが、羽織としても使えるし、いろいろな楽しみ方がありそうです。
じき「緑のおばさん」が出現しますよ~。