みなさん、こんにちは。
昨日は広島県立美術館に行ってみました。
午後からは半袖でも良いかと思うくらいのお天気で、隣接する縮景園の緑も美しいです。
6月8日まで開催中の『ダリ展』は3階。エスカレーターから見える壁面にはダリの大きなポートレートがあってギョロリとこちらを見ています。
3階に到着しました。
展示会場内での撮影は所定の「1枚だけが可」とのこと。
だったらと入口にあるパネルも撮っておきました。
≪ダンス:セブン・ライブラリー・アーツより≫1957年頃
唯一撮影が許可されていたのがこちら↓
≪ヴィーナスの夢≫。1939年のニューヨーク万国博覧会で展示されたそうですが、なんとパビリオンそのものがダリの企画で「ヴィーナスの夢」館だったとか。
その記念すべき作品を広島県立美術館が所蔵しているのですから驚きですね。撮影許可がおりているのも納得です。自分のところの作品ですから。
しかし、こんな有名な作品(しかも大作!243.8m×487.6m)をよく購入できましたね。一体いくらで落札したのか、その経緯を知りたいと思って検索しましたが出てきません。AIによる概要を見てもダメでした。秘すれば花ですかね?
パリのオートクチュールでもかかった費用(金額)のことは口外しないのが習わしだそうで、作家の林真理子さんが昔、シャネルでスーツをオーダーした時も金額は明らかにされませんでした。「一体いくらかかるのか」が知りたくてオーダーしてみたそうなのですが、結局はこちらも秘すれば花の世界だったようです。
ともあれ、他の出展作品の大半は諸橋近代美術館からきたものでした。諸橋近代美術館は「世界屈指のダリ・コレクションを形成」している美術館ですが、今回は、素描、版画、彫刻が多かったです。その数が半端なく多いので、全体としては地味な印象になっていたように思います。
やはり一般人はシュルレアリストとしての「天才ダリ」を観たいと思って来るので、もっとインパクトのある作品、例えば今回のフライヤーに掲載されている≪ビキニの3つのスフィンクス≫のような大きくはなくてもドラマティックな作品を期待してしまうのではないでしょうか。その点では肩透かしを食うというか全体として薄味な印象です。
ですが(作品保護のための)暗い照明の中、じっと素描(デッサン)に目を凝らすと、恐ろしいほど綿密な線描がなされていたり、画題の斬新さにハッとします。ただこれが20点も続くと「ふうーん」くらいの見方になってしまうのが凡人の悲しいところ。余計なお世話かも知れませんが、老眼の方はメガネは持参された方が良いです。キャプションも暗い上に文字が小さいので見えにくいです。
それから今回の企画展は、ダリだけではなくシュルレアリスム運動に関わってきた他のアーティストの作品も多く、美術史のテキスト的な構成になっています。その点がダリのファンには物足りなさを感じさせるかもしれません。
例えばダリの奥さんであるガラの存在はダリにとって欠かすことのできないクリエーションの源泉でしたが(ダリは約半世紀にもわたって何百点ものガラの肖像画を描いていた)そこら辺の扱いが今回の企画展ではあっさりしていました。二人の関係性にもっと焦点をあてればさらに血の通ったがダリ像が浮かんだように思います。まぁ地方の美術館での開催ですから(しかもチケット代1500円)それは難しいことかもしれません。
東京の美術館であればチケット代は2000~2200円はしますし、来場者もひっきりなしですから、お金をかけたキュレーションができるのだと思います。たぶんダリの登場する映像作品も暗室で上映されたりするのではないでしょうか。
そんなこんなを考えながら会場を回りましたが、最後、出口のところにフィリップ・ハルスマンによる≪最後のポートレート≫がありました。ひょうきんな顔をつくった晩年のダリの姿。1978年の写真ですからその11年後(1989年)に亡くなったことになります。84歳。
サルバドール・ダリ。
1904年にスペインのフィゲーラスというところで裕福な公証人の息子として生まれ、絵画、彫刻、版画、舞台装置、衣装のデザイン、映画制作など多方面で才能を発揮し、20世紀を代表するシュルレアリスムの奇才。
今年が生誕120年になるそうです。